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オランピアソワレ 天草四郎時貞 感想

二人目はあざとさの暴力!時貞君の番です。

お姉さん呼び、上村ボイス、小動物、そして隠し味の闇であざといレベルがカンストしています。はいかわいい大好き~

今この記事を読んでいる皆さんは時貞のサブキャラスチル付きNTRエンドで胸を痛めていることでしょう。そこの私なりの解説もあるのでぜひ。

相変わらずネタバレ全開なのでご注意下さい。

 

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時貞ルートはじれったい両片思いが長かった璃空ルートと比べて序盤はマッハで話が進みます。まあもともと共通の時点でオランピアと時貞はお友達になったのでプラスの感情からのスタートなんですよね。

手紙配達を始めた理由を語ったオランピアに恋に落ちてしまった時貞は緑の長、常穂殿の勧めもあり、その日の晩に「僕をお婿さんにして下さい!」(そのまま引用)と言ってきます。最初に恋愛経験が少ない初心で奥手な少年だから、という前置きもいじらしいですね。勧められたから求婚したのも事実だと言ってくれたのは誠実で私的にはポイント高いです。

何より、ちゃんと恋したから、お姉さんだから結婚したいと思ったんだよ、と言ってくれたのでプロポーズの言葉としては文句なしです。我ながら時貞に甘すぎる。

しかも時貞、オランピアが島に来たいきさつを話すと泣いてくれます。おまけに、「よく今まで一人で頑張ってきたね…」って。ずっと自分の不吉な生い立ちを、色を怖がられ、一人で寂しくて、愛されたかったオランピアに怖くない、好きだよ、ってまっすぐ伝えてくれるんですよ!?この時にオランピアが時貞に初めて恋をするのも最高。

しかしそう上手くいきません。時貞は自分で名乗りを上げたとはいえ、自分がまだマレビトとして何も為していないことを気にしていて、心が島に根付かず、オランピアの婿となる資格がないと思っているのです。でもオランピアのことが大好きで、結婚したいと思っている。話が進むにつれて時貞が何かをしないと、って周囲の人間によって追い込まれていくのがしんどい。

クリームソーダを食べたりフォトジェニックスポット満喫したり、お勉強会をしたりとデートを重ねていくうちにオランピアはどんどん時貞のことが好きになります。黄泉で明日羽の前で見せた意外な面や、彼の優しさにどんどん惹かれていくのが見ていてかわいい。それと同時に、今にも海へ消えてしまいそうな危うげな時貞に「ここにいて欲しい」と言ったりして彼を繋ぎとめようとするのがしんどい。

あ、ヘブライ語の勉強ができる乙女ゲームはこちらになります!ほんと、お勉強会大好きなんです。それまで彼は「自分が信じる神様」について少し話してくれたのですが、こうして話を聞くのは初めてで。共通の時の「じゃあ仲良くなりましょう!」のくだりを回収するのも最高。しかもこの時の「エリ・エリ・レマ・サバクタニ」が…ウッ 

時計草の話に対するオランピアのリアクションに時貞が嬉しそうに笑うのも、異なる神を信仰していてもこうして分かり合えることが嬉しかったからなのかな…とか思っちゃいます。江戸幕府が400年続いたのも初期の厳格な武断政治の賜物なのも分かるけどさあ。話が変わりそうなので切り上げますね。

 

ちなみに、晶霊の滝で「誰もが自由で平等であるべき」ってこぼすのですが、これが天草四郎時貞感がして私は興奮していました。

 

一方、不穏の影も迫ってきます。流れ着く島原時代の刀、うさんくさい柑南、出回る瓦版に島の住人の心無い言葉。17歳の少年相手に重すぎる…今ここで乙女ゲームの感想書いている17歳の女は何なんだ…申し訳なさすぎる…釣り合うとか釣り合わないとかそんなの気にしないで欲しいけど無理だよね、分かる。

でも前の男は身分も何もかも捨てたうえで「俺が何者でもお前は俺のことが好きだろう?」って言って求婚してきたよ!何も気にすんな!って言ってあげたい。

 

一度何かを変えようとして失敗して、「特別」じゃないといけないから年相応の少年らしいことも、恋も出来なかったから別の人になりたかった。そんな彼の希望はこの島が、彼の過去が許してくれません。

不穏の影か忍び寄るなか二人の距離は順調に近づきます。雨宿りをしに訪れたオランピアの隠れ家で二人は初めてキスをするのですが、まあ尊い。頑なに服を脱がない時貞に逆に「僕を脱がしたいの?」と聞かれて壁に追い込まれてあとはお察しです。この男、たまに全力であざといことするのがズルいですよね。好きな人とのキスって気持ちいいらしいけどする?って。この時にめっちゃ好きって言ってくれるんですけどやばい。声優さんの苦しそうな声も相まってやばい。あ、あと一年前のtwitterで言っていた「淫らな欲望を~」のくだりはここで聞けます。璃空のときと同様にここでフェイントかけられるんですけどこれって他のルートでも続く感じですかね?

細い指でスカートをたくしあげようとして正気に戻った時貞は(逃げ)帰ります。翌日はオシャレなカフェでデート、お揃いの十字架のお守りをくれるのがエモい。が、この後に胡散臭い柑南と薙草らとの会議に出る、ということでお別れします。

どうしても柑南が信じられないオランピアは引き留めようとしますが失敗。時貞はやっぱり何かしないと、と焦っていて。でもそれはオランピアとの結婚のためだから何も言えない。つらい。

この時にオランピアの体質を知って天女島マジックの洗礼を受ける時貞の反応がかわいい。色が戻って残念がるオランピアもかわいい。魂の半身だと言われて焦る時貞が不穏。

 

この後お話は急降下。時貞が泳がないのも、服を脱がないのも、美肌風呂に通いまくるのも全部「痣」のせいだと知ったり、もらった十字架が落ちて不吉さが増したり、独色の若者が政権転覆狙っているとか刈稲が黄泉落ちした真相を聞いたりと嫌な予感ばかりなのに肝心の時貞にはちっとも会えない。きっと明日の朝何かが起こる、と私が確信したときに来客が来ます。来客は案の定時貞。「お命頂戴する!」と言って道摩を殺そうとするのを危機一髪で止めます。やっぱりあのオレンジ頭とロン毛緑がよからぬことを吹き込んだに違いありません。

 

ここで分岐するBADEND①は二人で島から逃亡、というか心中エンド。十字架で縛った二人が綺麗で好きです。ここまで彼を追い込んだのは島の住人であり、島のしきたりであり、何より自分だった、と後悔するオランピアが切ない。なんで17歳の少年をここまで追い込むんだ…というかこの時に時貞をいびるあの二人が完全にいじめっ子で草…こいつら刀持っている人間、しかも相当参っているに対してなめ腐った態度とりすぎでしょ…斬られても擁護できない…腕がァ…!じゃないよ。

 

無事に逃げる時貞を海岸で見つけられたら分岐回避成功。もう帰る…ここにいたくない、いられないとこぼす時貞を見て胸が痛みます。奇跡なんて起こそうと思った時点で奇跡じゃなくなるじゃん…そもそも道摩さんも数年前に「道」作るまでは長やってただけでしょ…生前に関してはどっかの山に引きこもって念仏唱えてよくわからん修行してただけっしょ…自信持ってよ時貞…

私の思いが届いたのでしょうか(届いていない)、ここでオランピアが「奇跡なんていらない!!」と言ってくれます。

役割がないなら私を愛して。それがあなたの役割だと。奇跡なんていらないからずっと私とこの島にいて。彼を追い詰めた人間の一人でありながら彼を手放せないから、だからずっと一緒にいて欲しい。邪魔するものは私が消す。ずっと恐れていた自分の力さえも使うのを厭わずに、必死になって時貞を島に繋ぎとめようとする白夜が最高に好きです。そうして二人はまた隠れ家へ行くのでした。

 

いや今でこそ冷静に書いていますがプレイ当時は私もやり場のない怒りのようなものを感じていました。首の周りにある痣が常に時貞を責めていて、彼に何かを為せよ、と急かしていたのかと。それに加えて最近になって奇跡が起こせない偽物は処刑する、なんて。首を落とされたことのない私ですら想像するだけで恐ろしいのに。それを彼にもう一度させるなんて。あの島の全てはいつも時貞に厳しくて、悲しかったです。信じて、信じて、信じぬいても最後まで何も言ってくれなかった神を呪うのは仕方がないことだと思うのです。それでも嘘つきの自分を、自分の犯した罪を後悔して世界に絶望しなきゃいけない17歳の少年を見ているとフィクション相手に怒りが湧いてきました。ゲーム、というか創作物はこうして感情を揺さぶられるから楽しいですね。話を戻します。

小屋で裸になって体温を温める時にすることと言えば一つ!…ですがその前に二人は祝言を上げます。二人きりで。誓いの言葉を時貞が教えてくれて、白夜は彼の後に言うのですが「…ずっと、ずっと誓いますか?」って念を押すのが一生懸命で切ない。それで時貞がしたい、とのことなので二人はしましたと。相変わらず好き好き言うのなんですかね?二人が幸せそうで胸がいっぱいでした。

幸せな朝を迎えて照れくさそうな二人を見ていられるのもつかの間、この後にまた分岐があります。皆お待ちかねの胸糞エンドです。

 

BADEND② 怪しい馬車に拉致られ、例の橙の長しか使えない島の倉庫に連行されます。刈稲と共に薬漬けになったオランピアは刈稲を時貞、刈稲はオランピアを死んだ恋人だと勘違いしてのNTR。しかも横で柑南にみられるという。どうやら柑南はオランピアのことが好きで、彼女に橙の子供を産んでもらいたいらしいですが…まず白い女の子しか生まれないっぽいので無理ですね。「僕とは全然似てない兄さん、せめて最後に兄らしいことをしてください」とかほざいています。このBADだけ見るとこいつのしたいことってよく分らないんですけど、トゥルー見ると合点がいくんですよね。

子供の時、双子の兄と遊んでいてちょっとした取り合いになったら殴られた、剥にかかったら治療してもらえなかった、まあ可哀そうといえば可哀そうです。それでこの男、剥で体のある部分を失ったと。腕も足もある…でもお兄ちゃんに好きな人との交配を任せなきゃいけない…と。え、ち〇こないの!?そういうことなの!?流石に笑いました。そりゃ笹良ちゃんに迫られても応えられないわ…結婚もできないわ…だからって腹いせに時貞に嫌がらせする?いびる?月黄泉に頼んでもう一本作ってもらいなよ…前のとほぼ同性能の作ってくれるらしいし…いくらそんな大きなハンデ背負っているからって拉致はダメだって…可哀そうだけど努力のベクトルが違う…こいつ何なの…キモ…

で、本編に戻ります。

 

初夜が明けて翌朝!時貞は自分がしようとしていたこと、独色の若者が企んでいたことをコトワリに報告をします。明らかになる柑南の悪事。とにかく柑南をひっ捕らえよう!ということで黄泉へ、海浬君によって紫禁城へ誘導させられ、罠だと分かりつつも最終決戦です。

それにしても時貞は色々分かっていたのだなあ、とこの時再確認できてよかったです。常穂さんが病気で心が弱くなって心にないことを言ってしまったこと、普通に柑南も薙草もタイミング的に怪しいし何かを企んでいること。それでも行動に起こしたのは自分の意志だから取り繕うつもりはないと言い切るのも誠実です。時貞は嘘をつかないで、いつも誠実に話してくれるところが好きですね。

最終決戦では銃を取り出した柑南相手に刀で立ち向かいます。時貞は自分の役目は白夜を守り、愛することだと気づいたのでもう刀の使い方を間違えはしません。「白」の花婿を白鼠が助け、無事に柑南を捕まえます。結婚したら瓦版に書いてもらうから殺しはしない、とのことです。一度死刑を味わったからこそ、もう自分のような人間を出したくない。自分だけ二週目の人生が与えられるのは不平等だから。時貞のこういうところめっちゃ好き… 

 

間違いをしたあの夜に、白夜から役割をもらったからこそ時貞はあの島に根付くことができました。だからあの時の白夜の言葉はとても大事だと思うのです。「奇跡なんていらないから私のそばにいて。あなたの役割は私を愛すること。」そう言われて時貞は人生で初めて、余計なものを気にしないで彼の望みを叶える勇気ができたのかもしれません。そしてその勇気があるからこそ、大事な事実に目を向けて、剣の使い道を定めることができました。

 

伊紗那天で道摩殺害未遂は見逃してもらい、無事に緑の長になることが決まった時貞。なんだかんだ道摩っていい奴っぽいですよね。誰のルートで掘り下げられるのでしょうか。ここで時貞は慈眼さんから桃の種をもらいます。オランピアを守り、愛することは彼女の魂の半身である時貞にしかできません。マレビトとして為す「何か」はこれからの島での日々で見つければ良いのです。まずは出来ることから。死刑廃止を足掛かりに、白夜と一緒に少しずつ島をより良い場所にしていくのでしょう。そんな幸せな希望と可能性を感じさせる結末でした。

 

ということで時貞ルート、無事終わりました。手記なんか読むと結構やるせなくなります。特別のレッテルって重い。自分で自分を偽ることに救いを見出していたとか本人の口からきくと一等つらい。天草四郎が死んだあと、腹を解剖したら雑草が出てきたという話を聞いたことがあります。一揆の終盤で城に籠っていた間、彼はそんな生活をしていたのです。いっぱいお食べ…このルート、史実の人を扱っているのでそういうのを照らし合わせたら延々と書いてしまいそうなのでここら辺でやめておきます。

ファンディスクで少し大人になった時貞が見たいです。楽しみ!!

次は縁、がんばりまーす。